久しぶり小屋で宴会やろうと、男ばかり4人で集まることになった。
ビールある? つまみは? じゃあ焼酎持って行く。
てな具合で夕方、まずSさん、Kさんがやってきた。
デッキと庭先の2か所に火をたいて、鍋を準備していたので、
ここでやろうと言うと、口々に「外は嫌だ」「寒い」とおっしゃる。
小屋は内も外も一緒なんですけど。
「いいや、やっぱり中がいい」「小屋の囲炉裏でやろう」
寒がりどもめ、しょうがねえな、と火すくってを囲炉裏に移した。
まもなく陶芸家のHさんが来た。昼間っから、同じ陶芸家で約2キロ上に窯を築いている田中佐次郎さんちでしこたま飲んで、食ってきたという。
まあ、上がりいや。
この日の鍋は、特製のトマト風味鳥がらスープ、別名Aワンスープである。
いつもの奴に、隠し味を入れて、2時間ぐつぐつと煮込んだものである。
× × ×
急いでネタばらしすると、隠し味とは「かんずり」である。
とうがらしを雪の上で寒ざらしして漬け込み、発酵させた新潟特産の逸品である。
これを大さじひとすくい、バターの塊とともに鍋に投入すると、えもいわれぬ深ぁ~い味わいが出るのである。
「もう満腹だから」と固辞するHさんに無理やり食わせたら、目を丸くして「うん、うん。うまい」と唸っていた。
どんなもんだい。
その夜の話題は、政治、経済、文化、核問題など多岐にわたったが、ほとんど何も記憶に残っていない。
迎えが来て、みんなを送って外に出ると、やっぱり外は寒かったな。